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数軒先の倉庫の上で双眼鏡で自分を覗いていた男に、わざと解る様に視線を合わせ、ニヤリと不遜に笑いかけながら。
(丸見えなんだけどね~、どこの国のスパイ様か知らないけどさ)
その倉庫の上で双眼鏡を構えていた日本人と思しき青年は、宇佐と目が合った瞬間、屋根からずり落ちそうになっていた。
「何なんだ、あいつ! あんなガキみたいな見た目なのに・・俺にいとも簡単に気付くなんて!!」
よもや気配を消し、屋根の上の死角に陣取った自分に気付く者が居るとは思わず、青年は動揺しまくっていた。
だが、その青年も他人の事を言える程の歳には見えないが。
どう贔屓目に見ても17・8くらいにしか見えない。
そして何処かで見かけた事の有るその顔は・・・先日、JJと墓地の裏で密会していた青年だった。
「ハハ、あいつは相当できる奴だぞ。見た目で判断しない事だ」
背後の声に気付き、屋根の下を覗き込むと先程のペテン師風の赤毛の白人の男がそこに立っていた。
「ブラックマン少佐! あいつをご存知なのですか?」
屋根の上の青年が目を剥いた。
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