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長屋も隣同士で、二つ離れた涼二とはまるで兄弟の様に仲良く育てられた。
そんなある日、そんな生活に嫌気のさした父親が、二人揃って蒸発してしまった。
互いの祖父、祖母は既に他界しており、この広い東京で頼るべき身内も居ない状態で。
故郷は脱藩した時点で当然、帰れない事になっていた。
そんな状態での、互いの家庭の大黒柱の蒸発だった。
涼二と仙吉の二人の母親は、それでもどうにか生活費を稼ぐため、最初は縫物や代筆・子守などの内職を細々として糊口を凌いでいた。
だが、仙吉の母が病で床に臥せり、病を嫌った子守の客が遠のくと、縫物や代筆の仕事も次第に来なくなった。
涼二の母は二世帯分の生活費を捻出する為に、止む無く自宅で身体を売り始めた。
そんな事も長く続かず、今度は涼二の母が客から病気をうつされてしまう。
そうなるともう、母親も形振りを構わなくなり、遂には我が子の身体を売る為に客を連れて来たのだ。
そんな状態で、当時僅か三歳の仙吉がその身を売られようとした時、意を決した涼二は仙吉を連れて家を飛び出した。
その後二か月程は、近隣の町を転々としながら家には帰らずやり過ごした。
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