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「・・その小汚ねえ白人野郎は、継科の父上、志良様を殺した張本人だ!」
煮えたぎるような怒りをむき出しにする国峻を、継科は一喝した。
「止さないか! あの一件はクリスチアーネ・アーダルベルトとも既に話を付けてある。・・・・もう済んだ事だ」
継科の手の中の、空になった茶碗がみしりと音を立てた。
だが、継科は自身の感情を収めるように茶碗を茶托にそっと置いた。
そして小指に付けた、紫色の石の付いた指輪を優しく撫でながら宇佐に向き直り、にこやかに説明した。
「その金髪は・・ドイツ貴族のオイレンベルグ侯爵ルドルフ。あの船の持ち主で、“秘密結社マインツ・グラディウス”を主宰している。君等も名前くらいは聞いた事があるだろ? 黒髪は恐らくアルフォンス・ケーニヒスベルグ藤崎。オイレンベルグ侯爵ルドルフとクリスチアーネ・アーダルベルトとの間に出来た庶子だよ。ボサ髪は通称JJ、ジョセフ・ジョーンズ。アーダルベルトの裏のトップをしている男だ。船の名は・・グラディウス・ヒスパニエンシス号。表向きは成金貴族が建造した、金持ちの為の娯楽施設。だがその内情は私達と同じ、ありとあらゆる裏の商売の為の船だ」
「・・やはり、彼等もミュラー博士絡みなのか?」
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