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ヒールの音がカツンと響いてホームから発車ベルの音がなり響く、私の後から駆け下りてくる学生とすれ違いながらゆっくりと振り返って見上げた。さっきの学生は無事に電車に乗れただろうかと考えながら、ゆっくりと降りてくる彼にえぇ。多分合ってると思うわと答えた。
オフィス街からは少し離れてる新しい会社の駅は電車がいってしまったばかりでホームには私たちだけで、まるで世界から切り離されてるようだった。
駅のホームのベンチに腰掛けて元気にしてたか。まぁまぁね。などと世間話をしていれば彼の携帯が震えた。ちょっとゴメンと断ってから、少しだけ離れた所に立った。
もしもし。あぁ、わりぃ電車一本逃してさ。うん、うん、近くのカフェにでも入って待っててもうすぐ電車くると思うからさ。
それから何度かうん、うん、と相槌をして分かったから待ってろと話を切り上げて電話きった。
「...彼女?いや、違うね。奥様?」
彼女と言った時の彼の顔の変化に、カタチが違うのだと気づいてすぐに言い直す。
「あいつは奥様なんてキャラじゃねーよ。」
ぶっきらぼうにそういってそっぽを向く彼は昔と変わってなくて思わず変わらないねと言えば、そうか?なんてとぼけるから、そういうところだよとため息まじりに呟いた。
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