またな、チャンピオン

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「それではお決まりの、ブーケトスをお願いします!」  アナウンサーの差し出したブーケを両手で大事そうに受け取る。少し動きづらいウェディング・ドレスもなんのその。 「3、2、1、」  アナウンサーの掛け声と共に、観客がクラッピング。会場のボルテージは最高潮だ。 「どうぞ――――――!!!」  アナウンサー、観客が絶叫。それに合わせて大きくテイク・バックをとり宙に向かって、 「どや――――――――!!!」  と放り投げる。そんな妄想。  女子のマウント、ここに極まれりだ。最高に気持ちが良い。        ☆  結婚式の前、大学の仲間うちで小さな祝賀会を開いてもらった。大学ではバイオ系の研究室に所属していたので、女子と男子の比率もおおむね半々。私達の代もご多聞に漏れず男女二人ずつで、頻繁にという訳ではないが年に一度程度は都合が付けば集まる。そんな関係性の、言ってみれば良くあるご縁。 「いやー、中山さんが最初に結婚するなんてねー。びっくりしたよー」  そう言ったのは、未だに垢抜けない大室君。この春に博士の資格を取る運びで、大手食品メーカーの研究員に収まるらしい。絶対まだ童貞。     
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