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「俺、まだ新人のぺーぺーですけど、ウチでは原画が足りてないんです。推薦してみます!」
「取引ですか? 最低ですね」
「臼井さんと一緒に仕事がしたいです! 無理にお付き合いして下さいとは言いません! 何とか面接セッティングします!」
「分かりました。ご厚意には感謝します。連絡先としてフリーメールのアドレスを作ります。不審に感じたら即消去します」
彼女はスマホを操作して取得したフリーメールアドレスを見せた。
俺もスマホに臼井美桜の連絡先として登録。
「テストメール送ってみますね」
彼女のスマホがヴァイブレーションする。
「届きました。では面接の件、宜しくお願いします」
軽く一例して、また背を向けて歩き出す。
「あ、待って待って、良かったら紹介がてら、一緒にお花見しませんか? 課長も来ます」
‥‥。
沈黙。
高鳴る鼓動。
「‥‥分かりました、御一緒します」
心臓が跳ね上がった。
「そうと決まれば、席取りに‥‥げっ」
何だか関わるとヤバそうな雰囲気の人が居る。
「やっべ、席取りしてた場所、乗っ取られてる‥‥」
「頼りない人ですね」
周囲を見回して、良さげなスペースが無い。
って、臼井さんがヤバそうな雰囲気の人へと近づいていく。
「ここは、あの人が場所取りしてた所です。退いて下さい」
ちょ、マジかよ。
ぜってーヤバイって!
「なんやと? 今ここは俺が取っとるんや、なんぞ証拠でもあるんか? ぉおッ!」
「証拠ですか‥‥何かありますか?」
「あ、そのシート! ほら、宮原徳人って名前が‥‥」
恐る恐るシートの角をめくると、ちゃんと名前が書いてある。
持ち物に名前を書く、やっといて良かった。
「俺は宮原‥‥徳人や。さっさと失せんとイテまうぞ、コラっ!」
「身分証明書はありますか?」
「あ、あります!」
慌ててマイナンバーカードを見せる。
「そんなもん、偶然の同姓同名や。ええ加減にせな、ジバキあげんぞ、オラッ!」
うわ、小指無いよ、この人!
「身分証明書はありますか?」
スマホで写真を撮る。
「何、写真撮っとんじゃ! ブッ壊したる!」
臼井さんは躊躇いなく110番通報した。
「はい、事件です。場所は‥‥」
ヤバイ、臼井さんが殴られる!
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