融解とその事実

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◇ 翌日、病院で退院の手続きを済ませると、荷物を持ってくれていたミヤビが私の手を引いた。 「ミヅキちゃん、退院早々なんだけど付き合って欲しい所があるの」 付き合って欲しい所…? どこだろう… 連れて行かれた先は 車で1時間程行った上り坂の途中にある墓地 「ここってもしかして…」 「うん。紗香が眠る場所」 優しいヒンヤリとした風が吹いて、ミヤビの髪をサラリと揺らす。 「紗香にね?ミヅキちゃんの事をどうしても会わせてあげたかったの。」 目頭が熱くなってミヤビの笑顔が滲んだ。 「ミヅキちゃん?」 「ご、ごめ…」 頬に温かい雫が何度も伝う 「どうして泣くの?」 その上をもっと温かい掌が覆った。 溢れて来る涙に言葉を遮られる 私、ミヤビをいっぱい傷つけたよ? なのに、ちゃんと紗香さんに会わせてくれて。 優し過ぎるよ、ミヤビは。 「泣かないでよ、ミヅキちゃん」 ミヤビの顔が近づいて来て、おでこ同士がコツンとぶつかった。 そのままグリグリするミヤビは変わらずお日様みたいな笑顔で。 「もー。そんなに泣いてるとチューしちゃうよ?」 クスって声が聞こえたと思ったらおでこに柔らかい唇が触れた。 「ミ、ミヤビ…子供じゃないんだから。」 「ミヅキちゃんが泣き止まなかったから悪いんだよ!」 白い歯見せてニカッといたずらしてる子供みたいに笑うミヤビ 「ほら、ミヅキちゃん!」 戸惑ってる私の背中を少し押すと、お墓の前に立たせてくれた。 「…紗香と話してやってくれる?」 「うん…」 お墓を真っすぐ見つめてから手を合わせて目を瞑る。 紗香さん、お兄さんは本当に強い人ですね。 強くて儚くて、心が優しい。 大切にしますね、私達が、紗香さんの分まで。 「ミヤビありがとう。紗香さんに会わせてくれて」 私の言葉に嬉しそうにあの大好きな笑顔を向けてくれる。 「おし!じゃあ、寄り道も済んだし、帰ろう!」 ミヤビの笑顔って清々しくてまるで真冬の空気に暖かさを齎してくれるお日様みたいだよね。 …これからも、皆を照らし続けて。
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