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◇
英気を取り戻したソウタにミヤビと絡みながら帰った事務所
三人で入った途端、目に飛び込んで来た走り書き
『盗聴されてる』
一瞬にして、気持ちが引き締まった。
「ただいま。遅くなっちゃってごめん」
ソウタがいつも通りに笑顔を見せながら反応する。
「いや?俺も今までの報告書を今、まとめ終わった感じだから。」
肘を机に立てて、両手を組んだ上に顎を乗っけるカケルさんの表情
片端をクッとあげて笑ってる口元
目尻に皺を寄せて尚、笑っていない眼差し
昔の彼を彷彿させるには充分で、思わず生唾を呑み込んだ。
「で?とりあえず報告から?」
平気なフリして、席に乱暴に腰掛けた俺を満足そうに眉を下げて笑うカケルさん
「そうだね。」
相槌の言葉と共にスッと出された紙
『仕掛けたのは榊原で間違いない。
受信元は、目の前の喫茶店。そっから、榊原に報告が行ってんだと思う。主人の事チラッと調べたら、あの事務所の幹部連中の一人だった。』
“調べた”って…この短時間で?
眉間にしわ寄せてカケルさんの顔を三人で見たら、小首を傾げてニコッと笑った。
盗聴されてるから具体的に聞くってわけにもいかないしな…
「カイト、まずミヅキちゃんの話から始めてくれる?」
『ヤマサンの報告だと、スカイタワーホテルにミヅキちゃんがいるのは間違い無さそう。食事を運ぶボーイさんの証言がとれたって』
まあ…今はとにかく、ミヅキを取り返す方が先だな。
「分かった。」
俺がミヅキのアルバムの話を始めたら、また紙が出される
『報告の音声を利用して、紙でのやり取りの音を隠す。
それで、ミヅキちゃんをどう取り返すか、話すから。』
横を見たら、ミヤビが分かりやすく感動して、尊敬の眼差しをカケルさんに向けてる。
大丈夫か、この人
違和感無く自然に話すとか、すっげー苦手そうだけど
そんなミヤビに口元隠して笑ってるソウタ
眼差しを向けられたカケルさんもいい具合に苦笑いで、いつもの優しい眼差しにいつの間にか戻ってた。
最後にヤマサンさんと視線が交わったらふにゃりと笑う。
まあヤマサンが笑顔なら何とかなるって事かな。
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