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◇
ヤマサンとソウタと行った病院
おっちゃんは無事に一命を取りとめたけど、
あんな事になって、ソウタは表情隠す様にずっとただ俯いてた。
昔からそうだよね
辛い事を消化しようとして葛藤してんの、一人で。
だけど、
海に寄って、カイトも途中で来てくれて久しぶりに三人で話してたらいつもの優しいソウタに戻ってた。
良かった…
少しだけホッとしたら思い出す、ミヅキちゃんの事。
ソウタ…さ、タバコ吸うのにわざわざいつも屋上に行ってて。
ミヅキちゃんが追いかけて来るって、戻ってくるといつも苦笑いすんだけど、嬉しそうだなって思ってた。
ミヅキちゃんがいると、ソウタも元気になってくれるんだよね…
だからミヅキちゃんがここに居たらもっと楽しいのになって
海風に吹かれながら強く思った。
絶対ミヅキちゃんを取り戻さなきゃ。
改めて気合いを入れ直しながら帰った事務所
目に飛び込んで来たカケルの走り書き
『盗聴されてる』
心音がドキッと音を立てたけど、それは、『どうしよう』って困惑じゃなくて、
少しだけ、昔の環境を思い出したから。
昔は、盗聴なんてザラで。
そんな中に身を置いてたからカケルがどうやって対処するつもりなのかな?ってそっちが気になった。
そしたら、“声”に紙の音を紛れさせて、ミヅキちゃん救出大作戦を話すって。
すごいよね!さすがカケルだよね!
一応ね、そう言う気持ちを込めて眼差し向けてみたんだけど、何故か苦笑いのカケル
ソウタも口元隠して爆笑だしさ。
皆が期待してるとこ悪いけど
俺だってちゃんと、紙を見ながら、違う話も聞けるし、話せるよ?
「ミヤビ、大丈夫?」
敢えて、そう聞いて来るカイトも面白そうに笑ってる。
それに、自信たっぷりって顔して
「どーぞ、どーぞ、話して下さい」
わざとらしく促したら、ヤマサンがふにゃりと嬉しそうに顔を緩ませた。
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