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◇◇◇
スカイタワーホテルの最上階
両ポケットに手を突っ込んだまま窓からその素晴らしい景色を見下ろすスーツの男性
遅れて現れた三人の男性に不敵な笑みを浮かべた。
丁寧におじぎをするやいなや、三人のうちの一番若い男が嬉しそうに駆け寄る
「再びお会い出来て嬉しいです!」
その興奮具合に苦笑いをした一番歳のいった紳士が、ソファに腰を降ろすとと正面に座る様、促した。
「お噂は予々、聞いてましたよ」
タバコをふかし様にその整った顔を正面から見据える紳士に再び微笑みかける男
「嬉しいです。私の様なものに目を留めて頂けるとは。」
「で?答えは持って来たのかね?」
その言葉に、大きな目の中にあるその瞳をより光らせた。
「もちろんです。」
唇の片端をクッとあげてみせる。
「当然だよね!」
未だ興奮冷めやらぬ若者をたしなめる様に紳士が眉を下げた。
「落ち着きなさい、榊原。
すみません、こいつは、あなたに心底惚れ込んでるようでして」
「いえ、とても嬉しいです。彼と話を最初にした時から何かを感じていましたので、俺も。」
落ち着いた微笑みを向けると、さらに高揚する榊原。
「俺、あなたの事、『コノヨノオワリ』の事務所に居た時から知ってるんだよ?
あいつらと一緒に居るなんて許せなかったし理解できなかった。
やっぱさ、同じレベルのもん同士がつるむべきでしょ?」
その言葉にフッ笑みをこぼす。
「同じレベル…ですか。」
「そう!そうだよ!」
舞い上がる榊原の肩を後ろからグッと大きな掌が押さえ込んだ。
「同じレベルかどうかは、話を聞いてからだ。」
地響きの様な低い声
サングラス越しに見下ろすその様相は隠していても殺気が漏れている気がした。
そんな男にゾクゾクと自分も高揚しているのが分かる。
それを隠して、余裕の笑みを零すと口を開いた。
「無論、僕が辿り着いた真実とお話を聞いてから判断して頂ければ…」
ゆっくりした物言いに、少しだけサングラスの男が気圧される。
「んなの、俺に連絡くれた時点で分かりきってんのにさ」
不服そうに口を尖らす榊原にまた目を細める紳士
タバコを灰皿へと押し付け、少しだけその身を前へ乗り出してから口を開いた。
「では、話をお聞かせ願えますか、カケル…さん?」
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