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「カケル…すげーね、やっぱ。」
さっきから、どっか切ない顔をしてるヤマサンの柔らかい髪がふわりと揺れてる。
「知り合い、と言えば知り合いかな。」
微笑みはそのままだけど、その瞳が少し潤った気がした。
「昔の相棒…みてーなもん。」
「っ!!!あ、相棒?!」
「みてーなもん。」
「相棒でしょ?!」
「みてーなもんだって。」
「いや…いやいや…『みたいなもん』ってどういう事?!」
俺の動揺を一切無視で、夜空を見上げながらふうと溜息をつくヤマサン
「あいつ、そんなにヤな奴じゃなかったんだけどね…」
「ヤ、ヤマサン、質問の答えになってないから。」
「…俺が探偵始めた当初からしばらく、一緒に仕事してたんだよ。でも、あいつは途中でやめちった。ちなみに坊主じゃなかった。サングラスもしてなかった。」
「ごめん、この際見た目はどうでもいいかも。何でやめたの?」
「…『溺れた』んだと思う。」
「溺れた?」
眉間にしわを寄せて聞き返した俺にまた寂しそうな目を向ける
「金と欲にさ。」
海から潮の香りを運んで来る風が冷たく体に吹き付けて、少しゾクリ鳥肌が立った。
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