融解とその事実

7/10
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
◇ ここは…どこ? 暗闇の中、一人たたずんでいる私。 そっか、私刺されたんだっけ… じゃあ、ここは死後の世界って事? ミヤビ、ちゃんと笑ってるかな… 大丈夫だよね。 ミヤビにはソウタを始め、探偵事務所の人達がついてる。 ボウッと遠くで弱い光が灯った。 近づいてみると、私より少し歳上の男女が二人立っている。 …誰? 全く知らない人達だけど何となく懐かしい雰囲気。 「ミヅキ、ごめんね?」 女の人の声が直接頭に響いて来て、不思議と涙が溢れた。 スウッと離れて行くその姿 「待って!」 追いかけようとしたらじいちゃんが突然立ちはだかる。 「ミヅキ、行くでない」 言ったじいちゃんも遠ざかって行く 「じいちゃん、私も一緒に連れてって!」 折角会えたのに… 走って追いかけたいのに、誰かに手を握られてて全く動けない。 誰なの? 誰が私を引き留めてるの? この手の温もり…どこかで覚えてる “目が覚めたら、また一緒に笑ってくれるよね?” この少し鼻にかかる様な声、私知ってる。 口がちょっと悪くて涙もろくて、でも私の事沢山守ってくれた人 その笑顔で沢山温かくしてくれた人。 ミヤビ…もちろんだよ。 ミヤビが私の事を許してくれるなら、一緒に居たいって思ってるよ 目を閉じたら、探偵事務所の人達の顔が次々と浮かんで来る ミヤビ、ソウタ、カケルさん、ヤマサン・・・ 皆、笑顔で「ミヅキちゃん!」って笑ってくれて 最後にカイトが「ガンつけんな」って面白そうに私のほっぺたぎゅってつねった。 …私、もう一度あそこに戻りたい。 あの、居心地の良い空間に。 …目覚めなきゃ。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!