融解とその事実

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◇ ここ…病院? 鼻に少しの消毒液の匂いをかんじる。押し上げた瞼の先には真っ白な天井。 頭の中に霞がかかった状態で、右手から伝わる暖かい感触だけクリアに伝わって来る。 少しだけ視線を横に向けたらサラサラの髪の毛が見えた。 …ミヤビ? 少し力を入れそた指 それに反応してミヤビの肩がピクリと揺れて体が起き上がった。 「ミヅキちゃん…!ミヅキちゃん!」 目の前に現れた黒めがちな瞳に水分が充満して来て溢れ出してくる。 「ご、ごめ…とりあえず先生呼ぶからね?」 目元を袖でおもむろに拭うと、枕元にあるボタンを押して 「目が覚めました!」って報告している。 変わらず握られてる掌の温もりがより頭をクリアにしてくれた。 やっぱりミヤビだったんだ。 私の掌を握っていたの。 私…助かったんだ。
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