第一部:宝玉捜索編

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第一話:王の宝玉・レガリア ――――――バルト暦832年―――――― 権力の帝国・インペリウム国では、当時内乱が相次いでおり、その征伐に手を焼いていた。 「また、戦か・・・」 多くの将兵が来る戦闘に備えて東奔西走する中、一人の兵士がただ呆然と立ち尽くして独り言のようにボソリと呟いた。絶え間なく続く戦乱の世に飽いてきた。権威の為に戦いに明け暮れるこの国のやり方には到底ついていけない。最近、余計にそう感じるようになったと思う。 「おい、邪魔だ!こんなところでボサッとしてないで、早く招集場所に行かんか!!」 「っ・・・申し訳ございません。すぐに向かいます・・・」 (しかし、今回の戦に何の価値があるのか・・・。一体帝は何を考えているのだ・・・?) それもそのはず。今回の討伐対象は奴隷(ミニステルアルス)の軍団である。兵士の頭の中には疑惑が湧いてくるばかりだった。 「お前はこの隊だったのか、レグルス・・・」 「っ!?」  突然背後から声を掛けられた為、慌ててレグルスと呼ばれた男は振り返る。 「何だ、セラか・・・驚かせるな・・・・」  セラとは十年来の付き合いであり、同じ志を抱く友である。彼もまた、インペリウム国のやり方には疑念を抱いていた。 「まぁ、お互いまた生きて帰ろう」 「あぁ、武運を祈るさ」  レグルスは第三隊として陽動作戦の先導、セラは第一隊として先攻隊の一員に配属されていた。それぞれの道へ二人は分かれ、それぞれの任務をこなすことになった。
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