眠る

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部屋に戻るなり、食事も摂らず、入浴だけを手早く済ませて、処方された薬をミネラルウォーターで飲み込んで、ベッドに横になった。 「やぁ、待ってたよ」 耳を甘噛みされて、それだけで切ない声が上がる。 「ねえ?貴方は、誰?」 青年は微笑む。 「君の望んだ存在さ」 それだけ言うと、彼はいつものように私にキスをした。 舌を割入れて、水音を立てる。 甘い…。 行為はエスカレートしていく。 現実の彼とは、いや、他の誰からも与えられたことのない、朦朧とする程の快楽。 ああ、そうか、この青年は、インキュバスなのだ。 そう、唐突に悟った。 眠る女性を色欲の虜にさせる、夢魔───。
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