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シャッカルの大工
最初の街に戻ったセニストとカラナは、真っ先にマヤに会いに行った。
マヤはまだ洗濯屋の仕事をしており、ふたりを見ておかえりと言った。
セニストとカラナは洗濯屋の女主ペニーに再び部屋を借りられないかと交渉し、ひと部屋貸してもらうと、大工仕事を探しに行った。
再び2年働き、金が貯まると、セニストはマヤに結婚を申し込んだ。
これは受けられ、セニストとマヤの新居はシャッカルの村に建てられた。
マヤの弟セイマも大工仕事を始め、妹ジュンを養えるまでになった。
セニストとマヤの間に子供が生まれ、やがてセニストは大工として一人前と認められ、カラマとふたりでシャッカルの大工として近隣の村や町で仕事を受けるようになった。
セニストの子も大工となり、シャッカルの大工は腕がいいと評判になった。
カラナはセニストを手伝いながら、1人年を取らず、老いていくセニストたちを見ていた。
やがて永遠の別れの時が来て、セニストはカラナを呼んで言った。
「元に戻るのは自由だけど、今度から、眠るのは人間と同じにしろよ。お前に話しかける人間がいたら、その出会いが惜しいだろ」
「そうだな」
カラナは笑って言った。
セニストは最後の息を吐いた。
セニストの遺体が焼かれて灰になった頃、カラナは木に戻っていた。
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