54人が本棚に入れています
本棚に追加
うちに寄りたいとしつこいハルを、なんとか蹴散らして帰宅した。俺を出迎えて「ドーナツ食う?」と言うユキは、今日もかわいい。俺はにっこにこの笑顔で「食う食う」とスクールバッグを放り出し、皿に手をのばした。
ユキの作るドーナツは最高にうまい。外はカリッとこげ茶で、中はふんわりたまご色。齧りつくと口の中でほろっと溶ける。ユキが用意するおやつはどれも絶品だが、中でも、ドーナツは特別。これにありつけないハルを思うと、心底「ざまぁ!」と思う。
「うまい?」
「うまい!」
「それ食ったら、お礼に言うこと聞いてくれる?」
どゆこと?と思ってもぐもぐしている俺の前で、ユキは何の前触れもなく、下着ごとパンツをずり下げた。白い、へそのない平らな腹部。と、俺はその下の股間を見て目を疑った。
そこには、かわいらしいちんこが一本、ちょこんとついていた。驚愕する俺に、ユキは勝ち誇ったように言った。
「プログラムを組んだら生えてきた」
「……『生えてきた』って……」
AIのユキは、16歳の少年の設定だ。去年俺はその設定年齢と身長を追い抜いたばかり。しかし、年を追い抜くって、人間同士ならありえない。妙な感じ。
もとい、そりゃあ個体によって性器をもつAIもいるけど、ユキは無性タイプ。アソコはつるんつるんで毛すら生えていない。……はずだ。子どもの頃一緒に風呂に入って、それは何度も確認済。
俺は、しげしげとユキの股間を見た。ユキは「ふくろもちゃんとあるよ」と俺に披露する。
「でも勃起は、アプリをインストールしないとダメなんだ。そこで権限のある和希の出番」
俺はのけぞる。
「そんなの父さんか母さんか、かかりつけのメンテ医にしてもらえよ!」
「できるわけないだろ!俺が性成熟したら、いろいろ倫理的にも問題なの!非合法なの!でも俺は、人とセックスしたいの!」
最初のコメントを投稿しよう!