第七章

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悲痛なヨルの声が森に響き渡る。 そこへー。 「ようやく死んだか」 ハイロウが、その傍らにユリーネが現れた。 アルリはその二人を見た。ハイロウがせせら笑う。 「次期国王たる私に歯向かうとどうなるか、その身を持って知ったか。全く、私の服まで汚れてしまったな。おい烏。アルリを捕らえろ」 「はーい」 烏が近づいて、アルリの腕を掴む。 否、掴もうとした時、 一発の銃声が轟いた。 烏の頭が撃ち抜かれる。少年の体が衝撃に吹き飛び、地面を転がった。 「アルリ様!」 アルリは銃を片手に駆け寄ってきたその人物をーレジャンを見た。 「………っ!」 レジャンは、アルリが抱き抱え、ヨルがすがり付く血まみれのリュウシャを見て息をのんだ。 「レジャン」 「アルリ様……」 アルリはゆっくりとリュウシャを横たえた。立ち上がる。剣を片手に。 「ヨルと逃げて」 アルリはそう言って歩き出した。否、駆け出した。 「アルリ様!」 制止するレジャンの声など、聞こえなかった。聞こえていたのは、リュウシャの言葉だった。 『あんたを助けに来たんだ』 真っ直ぐにアルリに向けられた言葉だった。 そんな言葉をアルリにかけてくれたのは、リュウシャが初めてだった。 自分は。 アルリの喉から叫び声が迸った。目前に迫ったハイロウに斬りかかる。ハイロウが目を見開いたところで、傍らにいたユリーネがその剣を弾いた。背中から生えた羽で。
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