16人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
それはいつもの通り、朝の挨拶で終わり、その後はそれぞれのスケジュールに従って天界の一日が始まる予定だった。玉座に座るゼウス。その左にガブリエル。その右側にルシフェル。正面にミカエル。そのやや後ろにウリエル。玉座後方にラファエル。いつもの通り挨拶が終わり、ミカエルは稽古場に向かおうとゼウスに背を向けた。
その瞬間、何を思ったのか突然ルシフェルは高く真上に瞬間移動し、腰の剣を引き抜くと一気にゼウスを目指して急降下してきた!
瞬時にゼウスを庇う為に彼の前に立ちふさがるガブリエル!
全てをやや離れた後方で心配そうに見守るラファエルは、万が一の為にすぐに応戦出来るよう剣を構える。
全てを冷静に見守るウリエルは、何か体内の気を高める事に集中しているようにも見える。
……当のゼウスは、自身が狙われているのに微動だにせず、ただ真上から迫りくるルシフェルを見つめていた……
そう、ゼウスはあの日ルシフェルと会話をした事を思い出していたのだ……。
あの日、ミカエルを去らせた後振り返り跪いたルシフェルに、彼はこう問いかけた。
「ルシフェルよ、人間達は幸せではないのか?」
ルシフェルは、ゼウスの琥珀色の瞳をしっかり見つめながら、
「人間達は、何が幸せなのか見失っている者が多いのだと思われます」
と応じる。
「お前の意見を聞かせてほしい」
とゼウスは先を促した。ルシフェルはゆっくりと答える。
最初のコメントを投稿しよう!