第三話 それぞれの思惑

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「いいえ、ちょうど終わる頃でしたから」 ウリエルは嬉しそうに答えた。 「そうか。今日も人間どもに錬金術の力を送っていたのか?」 「はい。人間界ではオルゴナイトを始めとしたラッキーアイテムがブームだそうで。我々のシンボルや神聖幾何学などが横行している様子です」  一瞬鋭い表情になったルシフェル。 「あまり人間たちを甘やかすのは感心しないがな」  と冷たい口調になった。ウリエルはやや慌てて 「はい。ですが、しっかりと安全に安定した方法を伝授しないと、危険なものを創り出しかねませんから。ただ、おっしゃるように力を誤用するもの、また悪用するものも出てきており、悩みの種です」  と説明した。それを聞くとルシフェルの表情は更に険しくなり、 「なるほど。やはり人間は愚かなものだな。ゼウス様に愛されているのを良い事に、我々の名はおろか、神々の名を語り悪用する奴らも出てきておろう?」 と、いまいましげに問いかけた。そんなルシフェルの真意を測りかね、 「ルシフェル様?」 と困惑気味に問いかける。 「すまぬ、つい余計な事を言ってしまったな」  ルシフェルは穏やかな表情を浮かべ、と素直に詫びた。 「め、めっそうもございません!」  と慌てて応ずるウリエルを面白そうに見つめた。そして不意に真面目な面持ちとなり、 「時にウリエル、そなたに問いたい」 と、月光と(たた)えたような銀の瞳を真っ直ぐに見つめた。
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