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そしてソファに座るよう促す。
「今、お茶を入れますね」
と言うと、ラファエルはその場を離れようとした。すかさずルシフェルは、
「構うな、私が勝手に来たのだから」
と引き留める。そんな彼に穏やかに微笑み、
「ちょうど休憩をしようとしていたところです。それに、何かお話があっていらっしゃったのでしょう?」
と、まるで悪戯っ子のように言った。ルシフェルはつられてつい笑いながら、
「そなたには敵わぬな」
と肩をすくめ、ラファエルの後ろ姿を見送った。樹木の温もりを感じる部屋だ。こじんまりとしてるが、小ざっぱりとしている。ソファー深く腰をおろし、部屋の主が戻るまでしばし寛いだ。
爽やかな風が窓から吹き込む。柔らかな日差しが部屋に差し込み、外では鳥が歌っている。ルシフェルは琥珀色に透き通る液体を見つめながら、ふと、ゼウスに想いを馳せた。
そして、ゆっくりと琥珀の液体を味わう。
「落ち着くな……。やはり、ソナタの入れるハーブティは絶品だな」
しみじみとルシフェルは言った。
「恐れ入ります」
ラファエルは軽く頭を下げ、同じように琥珀色の液体を飲んだ。しばらく、二人は、その穏やかな空間を味わう。
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