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「選択の自由、というやつだな」
とルシフェルは答える。ラファエルはそれに頷き、更に話を続けた。
「ただ、一時的に不安は解消されても、与えられた答えなので安定はしません。ですから、彼らは再び不安になって彷徨った挙げ句、人間同士で優劣をつけ始めます。そして、自分と異質なものを排除しようと画策します。これが、いじめや偏見、差別、格付け、と呼ばれるものの大半です」
と、穏やかに語りつつも、ハッキリと言い切った。それに頷きながら、
「皆、違って当然だし、そもそも優劣などつけられぬのだがな。愚かなものだ。不安なのは当たり前だ。生まれる前に設定してきた課題や使命は、忘れるように設定して生まれるのだからな。ごく稀に覚えているものもおるが……。何故そうしたか?
ゼウス様の深い愛からだ!
決められた人生などつまらぬから、自分で運命を切り開く醍醐味を味わえるようにだ!
しかも、道標の参考に「占い」というものまで授けられているのに。その占いを、他人の気持ちを操作・支配・コントロールしようとする事に使おうとするものが多い。実に嘆か
わしい!」
と怒りを露わにする。そんな彼を、ラファエルは優しい眼差しで見つめた。
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