第四話 天界の神々

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「すまなかったな。お前に助けられた」  ゼウスは傍らに寄り添う妻、ヘラに声をかける。会議が終わった後、しばらく会議室に佇む夫ゼウスに寄り添った。 「いいえ。妻として当然の事をしたまでですわ」  ヘラは至って落ち着いた様子で応じる。 「……何か、考えてらっしゃる事があるのでしょう?」  その問いかけに、ゼウスは寂し気に頷くのみであった。一瞬、ほんの少しだけその瞳に悲しみの影が差すヘラ。だが何も言わず、夫の微笑みかけるとその場を後にした。 『すまんな、ヘラ。今はまだ、誰にも話す事は出来ぬのだ』  ゼウスは心の中で、静かに妻に謝罪した。
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