第五話 時、満ちる

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 メタトロンは瞬時にウリエルの言葉を思い出す。 あの時、ウリエルはこう言ったのだ。 「メタトロン、これからゼウス様はじめ我々5大天使に、何かが起こるかもしれぬ。その際は、正十二面体と正二十面体の二重に結界を張る。それを合図に、お主は全天使を『セフィロトの樹の丘』の元へ誘導してほしい。そして、軍神アレース様に、我々5大天使に任せてほしい、と伝えてくれ」  今もそのチェロを思わせるウリエルの声が甦る。そうしているうちに、そのゼウス達がいると思われる正十二面体の空間に目もくらむような白い光が溢れ、その光は十二面体の外側に更に、白く輝く正二十面体の結界が張られようとしていた。  それを見るや否やメタトロンは 「ラギュエル!頼む、時間がないんだ!急いで軍神アレース様に出動は必要ない事、何かあれば追って連絡する、と伝えてくれ!私は今から天使軍団を『セフィロトの樹の丘』へ誘導する。そこで後で落ち合おう!」  と急いだ様子で告げた。あまりに唐突な話に唖然としながらも、半ば諦めたように微笑み 「わかったよ。理由は今は聞かないでおくよ。緊急事態なのだろう?」  そう言いつつ、アイボリー色にキラキラ輝く翼を広げ、アレースの元へ飛び立とうとするラギュエル。それを見送りながら、メタトロンは 「すまない、ラギュエル。礼を言う」  と頭を下げた。 ラギュエルは、そんなメタトロンに向かって気にするな、というように声を立てて笑い、去り際に 「落ち着いたら聞かせてもらうさ」  とウィンクをしてアレースの元に去っていった。 ラギュエルを見送った後、メタトロンは意を決したように迫りくる天使達を振り返った。
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