第六話 Light and darkness ~光と闇を見つめて~ 

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 そしてウリエルに向き合う。 「頼む」  と保護されたままの翼を指さして言った。ウリエルは黙って頷くと、両手を翼に翳す。一際眩いゴールドのオーラに包まれた銀の翼は、徐々にその形を変えてまるでルシフェルの瞳を思わせるアメジストの宝石に、銀細工が施された装飾品が二つ出来上がった。そのうちの一つは、ゼウスの右手のブレスレットに。もう一つはミカエルの剣の持ち手部分に装飾された。  アメジストの艶めきと銀細工の輝きは、ルシフェルの瞳と髪を連想させた。 「礼を言うぞ、ウリエル。では……」  と言いかけたルシフェルを遮り、意を決したように 「ルシフェル様! 人間達は、他人軸で生きている者が多い為、幸せを感じにくい傾向があるのだと思います。つまり、幸せは誰かがくれるものだと思っています。ですから常に自分と誰かと比べて一喜一憂しやすく、権威ある者の意見に左右されやすい。自分軸で生きると、自由と引き換えに何があっても自己責任になりますから、失敗した時に周りのせいに出来ないのでそこに恐れがあるように思います。 勿論、彼らには選択の自由がありますから他人軸で生きるのも有りでしょう。ですが、他人軸で生きるのは常に周りに振り回されますから、ストレス過剰で大変だろうな、と感じます。そして、彼らは自分以外の誰かになろうとする事が成功である、と思い込んでいる為、常に今の自分に許可を出せず、幻想を追い求めている者が多いです。せっかくゼウス様が、一人ひとり異なる個性を与えて下さったのですから、それを活かしてほしい。自分軸で生きる勇気を持ってほしいと思います!」  と一気に述べた。
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