第六話 Light and darkness ~光と闇を見つめて~ 

10/11
前へ
/43ページ
次へ
ルシフェルは満足そうに微笑み 「よく、自分の言葉で話してくれたな。嬉しいぞ。それで良いのだ。誰かに気に入られようと画策したりしても人の想いは操作出来ぬ。自己否定の強さから自分以外の者になろうとしても自分らしさは失われ、その結果周りをも巻き込んでしまう。例えば、汚れ役を本来やる必要がないガブリエルが担う事になったりな。やつは本来鋭利な光そのものなのだ。一部の人間達が宇宙を味方に!と言っているが、そもそも宇宙は中立であるし、私達も宇宙の一部なのだ。自分以外のものになろうと不自然な生き方をすれば、宇宙の流れに逆らう事に等しい。だから、周りをも巻き込んでしまうのだ。そなたが自分らしく自然体でいる事により、ゼウス様はじめ、ラファエルも、ガブリエルも皆が本来の姿で輝けるのだ。どんなに足掻いてももがいても、自分は自分以外にはなれぬ。だからそなたは、そなたのままで良いのだ」  と答えた。ルシフェルはウリエルに合図をする。ウリエルは頷き、印を結ぶと 「我、光と闇を操る者なり。我が名はウリエル。漆黒の異界の扉を開け!」  と唱えると、突然漆黒の観音開きの大きな扉が目前に広がった。 「闇の(かんばせ)を開けよ!」  とウリエルが命ずると、ゆっくりと扉が開き始めた。中からは漆黒の闇しか見えない。そこからふいに鉄の仮面と鉄の甲冑に身を包んだ者が登場した。そしてゼウスの元にやってくると跪いた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加