【R18】ハドナの闇

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 言えなくなっている少年に代わって、ランバートが伝える。それに、ウォルシュは僅かに眉を上げ、少年に近づいてアイスブロンドの前髪をクシャリと撫で上げた。 「あのなぁ、そういう事は言えっていってるだろ」 「ご…めんなざぃ」 「責めちゃいなが、お前の為にもならないだろ」  呆れたような、だが見守る穏やかなウォルシュの視線に、少年は声を震わせて泣いてしまう。悔しさや悲しさが溢れるようなその姿に、何か見過ごせない事が起こっているのを感じた。 「悪いなぁ、兄ちゃん。こいつは内にため込む癖があって話したがらなかったろ。それでも気にかけて連れてきてくれて、助かったわ」 「あぁ、いいえ」  何が起こっているのだろう。それに、奪われた絵は。第一この子の絵をどうして奪う必要があったのか。コンクールの品を狙うなら、もっと有名どころを狙うだろうし。 「犯人はなぁ、分かっちゃいるんだが手がだせねぇ。手の悪いこった」 「分かってるなら何故手が出せない」 「犯人がこいつの工房の師匠。つまり、責任者のロナードだからだ」  その言葉に、ランバートの中で静かな炎が起こった。  この子が必死に守ろうとしたなら、あの絵はこの子が描いたものだろう。それをどうして、師匠が潰しにかかるのか。  卑怯だ。そして、理不尽だ。こんな事を許していいはずがない。どうしていつも傷つくのは力のない人達ばかりなんだ。     
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