少年は夢を見る

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 詰め所はどこか忙しそうに人が動いていた。そこへと入っていったランバートとファウストに、ウォルシュが気づいて近づいてくる。そして、ニッと笑った。 「何かあったのか?」 「馬車の番号から実行犯を捕縛しましてね。昨夜は大忙しでしたよ」 「本当か!」  ファウストも嬉しそうに顔をほころばせる。そして、ランバートと視線を合わせた。 「盗まれた物は見つかりましたか?」 「いや、それは……」  ウォルシュの返答が詰まる。それだけで、どこかで「やはり」という気持ちが深く影を落とした。 「燃やしたとか、捨てたんじゃないらしい。あいつらは盗んで、指定された場所に置くだけだったそうだ。今、依頼主を吐かせているところです」  不幸中の幸い…とは言えないか。これを仕組んだのはロナードの周辺、もしくは彼のパトロンなのだろう。金ズルを現在手放した状態だ、奪い取ってでも欲したに違いない。 「ミックは?」 「奥にいる。よかったら話し相手になってやってくれ。落ち込んでいてな」 「俺はウォルシュと一緒に聴取に少し参加する。一人で動くなよ」 「分かってる」     
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