370人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
色がついた状態で、これが見たかった。ランバートは素直にそう思ってしまった。
「よし、出してこよう。それが終わったら、美術館前の広場で面白い事をしないか?」
「面白い事?」
「似顔絵を描くんだよ。銅貨一枚で」
「え!」
ミックは驚いたように目を丸くした。けれどこれも狙いがある。ミックの絵を多くの人に知らせるため。今はロナードの絵として知られてしまったミックの絵が、実は違うのだと証明するにはその場で描かせるしかない。だからその場で似顔絵を描き、人々に広く知らせるんだ。
「大丈夫、昨日みたいに怖い人なんて来ないよ。俺とファウストがいるんだから」
隣を見れば穏やかに笑うファウストも頷いている。それを見て、ミックも少し恥ずかしそうにしながらも頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!