コンクールの行方

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「ランバートさんがいなければ、僕は絵を描くのを嫌いになっていたと思います」  そうまで言われると、少し照れくさい。隣でファウストが、「良かったな」と言わんばかりに背を叩いた。 「今後はどうするんだ」 「俺の知り合いの工房に預ける事になりましたよ。多少荒っぽい奴だが、腕は確かだからな」  ファウストの問いに、ウォルシュが答える。それに、ミックも頷いた。 「今度、お礼をさせてください」 「お礼なんていいよ。俺も楽しかったし」  ランバートは笑ってファウストを見上げる。少しだけ、自分らしさを取り戻せたように思えた。思い悩むばかりでも、焦るでもない。目の前にいる人の為に何かをする事を。  そして、ファウストもそれを支えてくれる。一方的に「守る」とか「守られる」ではなく、隣にいて支え合っていけるような感じがした。  焦りすぎていたんだと、今なら分かる。隣の存在があまりに大きくて、そんな人が恋人になって、力みすぎていた。 「王都に来たら、案内するよ。頑張れ」 「はい!」  手を振るミックの隣にウォルシュも立って見送ってくれる。その中を、二人は隣り合って進んで行く。また、日常が戻ってくるのだ。
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