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この、頭が真っ白になる様な強烈な快楽は辞める事が困難だと思えたが、この後の楽しみの為に意識を落さないようにセーブする。幸いな事に今回の相手は本人が言っていた程には特に手練れという訳でもなかったから、意識を飛ばさないようにすることはそこまで難しい事でもなかった。
「ねぇ、アキくんも、気持ち、いい……?」
甘くねっとりとした蜂蜜を思わせる声音でそう尋ねれば相手も限界なのがよく分かる。
「ああ、中、絡みついて、も、出そっ……」
「まだ、だぁめ。今度は僕が上になるから、ね?」
そう言ってずるりと相手のそれを引き抜くと、アキと呼ばれた青年をベッドに寝かせ、騎乗位の体勢に変えて、永穂は彼の上で扇情的に腰を振る。
今相手にしている青年と言ってもいいような年の彼は、ミュージシャンを志望して田舎から上京してきたという話だった。
細身の黒いスラックスに立ち襟のシャツ、灰色のジャケットといった普段通りの恰好をした永穂は、幾度か通ったことのあるゲイバーで呑んでいた。
そこに、黒いチノパンに暗い色のジャンパーを羽織った、それなりに洒落た格好をしているが、見るからに初めて来たであろう青年が目に留まったのだ。
髪の色こそ派手で気の強そうな顔だったが、初めての場所で一人というのは心細いのか緊張からなのか無表情で度数の高そうな酒を煽っていた。
見るからにサディスティックであろう彼に犯されたいと思って、狙いを定めた。
「ねぇ、ここは初めてでしょ?」
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