1.同期の新居へ

2/4
前へ
/13ページ
次へ
いぞうの同期、田中はいぞうと同い年の40歳。いぞうは開発部門だが、田中は営業部門である。33歳の妻と、小学2年生の息子がいる。これまでは賃貸のマンションに住んでいたが、この度、立派な一戸建てを購入した。 この新居にいぞうが招待され、今日、お邪魔しにきたという流れである。 「奥さん、本当に、広くてキレイで素晴らしいお宅ですね。あ、これ、つまらないものですが」 そう言って手土産の日本酒を渡すいぞう。 「え?そんなのよかったのに。気を使わせてしまってすみません。でも、ありがとうございます。」 「田中も奥さまも日本酒がお好きということで、灘の地酒をお持ちしました。」 「すまんな。気を使わせて。美味しくいただくよ。もう一つ持っているその大きな袋に入った箱みたいなものは?」 「これはゆうとくんへのおみやげなんだ、後で渡すよ。」 ゆうととは、田中の小学2年生の息子である。 「そうか。ありがとう。今日は初めて人を招待するんで、同期で仲の良い池手名、池田、黒田の三人にきてほしくてな。同じ同期でも、営業の連中だとどうしても仕事の話になるからな。」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加