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ただ、こうまで手がかりがないと……。
ブツブツと呟きながら歩いていると、大きなひまわりが目に入った。
「ここって……あの日の……」
そこは久しぶりにこの町に来たあの日、樹君が連れてきてくれたひまわり畑だった。
でも……私が知っている向日葵畑とは違う気がする。だって――。
「たいしたもんだろう」
「え……?」
ボーっとひまわりを見つめていると、後ろから誰かに声をかけられた。
振り返るとそこには、地元の人だろうか。人のよさそうな顔をしたおじいちゃんがいた。
「この町は昔っから向日葵が沢山咲いてるんだ」
「あの! 私、子どもの頃この町のどこかで向日葵を見たことがあって! ここよりもっともっとたくさんの向日葵があったような気がするんです! どこか知りませんか!?」
「ここよりもっと……?」
少し考えるようにしたあと、おじいちゃんは山の方を指差した。
「あの山だったかな、それはそれはたいそうなひまわり畑があったんじゃが、それのことかな?」
「あの山ですか?」
「ああ。じゃが……」
「ありがとうございました!」
私はおじいちゃんにお礼を言うと慌てて駆けだした。
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