第二章 白猫と少女

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    僕と彼女が話をしていると、買い物袋を提げたおばさんが近づいてきて、僕たちに向かって言った。 「あなたたちなの? この辺りの野良猫に餌あげてるの。餌やるならちゃんと責任持ちなさいよ」  僕はおばさんに向かって「すみません」と謝った。そして莉緒に聞いた。 「どうするの? シロ、飼うの?」 「うちは社宅だから飼えない。どうしよう……」  彼女はさっきのおばさんの言葉に、自分は大変なことをしてしまっているのだという表情をし、不安な目をして僕を見上げた。 「うちも家族みんな猫嫌いだしなあ」  僕もなんとかしてあげなくてはと思いつつ、現実は厳しかった。
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