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連れてこられたのは、彼女の家の裏に住みついたという野良猫。汚れているが白猫だ。その白猫が急に食べなくなり、水も飲まなくなって三日経つという。名前はミイ。おそらく一歳にはなっていない。
ミイを抱いた少女は、どうしていいのかわからないという不安気な眼差しを僕に向けた。
僕はミイを診察台に上げ、腹部に聴診器をあて、そして触診をした。ミイは嫌がる風もなく、大人しくしている。というより、食べていないのだから生気もない。そのわりに痩せてはいないが、腹部にわずかな違和感を覚えた。
「キミが世話してるの?」
「はい。家の裏で家族には内緒で」
「キミが餌をあげてはいるけど、ミイは野良猫ってことなんだね」
確認するように僕は聞いた。
「はい……」
少女はとても悪いことをしているといった表情で小さく頷いた。
僕は、この子には残酷だろうなと思いながらも聞かなければいけなかった。
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