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「キミはミイをこれからどうするの? ずっと家族に内緒で飼い続けるの?」
少女は、おそらく僕の言うことの意味がわかっているのだろう。
「野良猫のミイに、キミはどこまでの治療を望んでいるのかな」
少しの間迷った後、僕の目をまっすぐに見て答えた。
「病気を治してください」
あの日の僕と同じだ。
「一度手をかけてしまったら、ミイは野良猫ではなくなるんだよ。キミはミイが死ぬまで責任を負う事になるんだ。命ってそういうものなんだよ。猫の命もキミの命と同じくらいに大切なものなんだよ。わかるかい?」
僕の言葉は、その少女にとってはとても重いものだとわかっていたが、彼女はすぐに大きくうなずいた。
「わかった。じゃあ今夜は入院させて点滴を打つよ。で、明日になったらレントゲンとかの検査をするけどいいかな」
少女は、お願いしますと頭を下げると、自分の連絡先のメモを残して帰って行った。
彼女の必死な気持ちが、あの日の僕と重なる。
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