第一章 ねこ専門病院

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 僕は高校生の頃に、この動物病院に来たことがあった。 「シロ……」  目の前のミイの姿を通して僕の口から出たその名前が、今も忘れられない自分の過去を一気に思い出させた。頭の中にフラッシュバックのように次から次へとハッキリよみがえってくる。  僕はまたスマホの連絡帳を開いた。 『橋本莉緒』  何度彼女の電話番号に指を伸ばしただろうか。しかしこの十二年間その番号をタップしたことはない。  彼女は、今どこで何をしているのだろう。
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