第二章 白猫と少女

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   十二年前、僕は高校二年生だった。季節は梅雨の真っただ中。灰色の厚い雲に覆われた空から落ちてくる、梅雨特有の濡れる雨。通学路途中にある小さな公園。  ある日の帰宅途中、僕は公園内の生垣の上に、赤い傘があるのに気付いた。  傘は開かれた状態で、柄の部分が生垣の中にささっている。飛ばされてきたのにしては不自然だ。  その時僕はそれをチラリと見ただけで通り過ぎたが、翌日も、その翌日も、生垣には赤い傘がささっていた。しかも、傘の位置が微妙に変わっている。  誰かの落とし物なのだろうかと気にはなったが、それをどうこうしようなどとは考えもせず、毎回そこを通り過ぎていた。
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