第二章 白猫と少女

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    そんな日が数日続いたある日、あの赤い傘の隣に制服姿の女の子がいる事に僕は気づいた。その子は透明のビニール傘をさしてしゃがんでいた。  あの制服は坂の向こうの女子高のだ。  僕が立ち止まって見ていると、その子はふいに立ち上がった。そして振り向くと、僕がいる公園の入り口を見た。目が合った。僕はまずいものでも見てしまったかのように咄嗟にうつむくと、すぐにその場を立ち去ってしまった。  翌日も雨。僕はまた公園の前に来た。赤い傘がささっている。昨日の女の子はいない。  僕は思い切って公園に足を踏み入れた。そして傘がささる生垣の中を覗くと、予想通り、いた。薄汚れた白い野良猫だ。おそらく一歳にもなっていないだろうが、仔猫というほど小さい訳ではない。  白猫のそばには餌と水の容れ物代わりの空き缶が二個。白猫は逃げこそしなかったが、その場に丸まったままの姿で僕を見上げた。そしてその目はとても怯えていた。
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