トンナムの朝

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希望でいっぱいの元気なエネルギーが体全体からにじみ出ている。面接官の初老の男性は、面食らって少し照れくさそうに笑顔になった。 アンの言った社会情勢とは。この国に戦争の影が忍び寄ってきていると言う事。長引く不況、通貨の暴落。世界中がどんどん暗い方向へ向かっている。 仕事が無い貧乏な地方の若者は軍隊に入るくらいしか生きるすべがない。またその事を正当な行為だ、と思わせるようにマス・コミニュケーションが仕事をしている。 最近アンの暮らす地域にも空軍のジェットがひんぱんに飛び交うようになってきた。 もうきな臭い匂いがしているのを、皆、知らない素振りをしていた。 アン「ただいまあ」 母「アン、どうだった?」 アン「バッチシ、ちょろいもんよ!」 母「あー良かった、これで食いつなげるわ」  「私のミシン内職だけじゃ食べてゆけないもん」 アン「アシモフ兄さんの分も、私がこの家をやしないますからね、エッヘン!」 母「はいはい」 アン「ネーお母さん。お父さんのお給料が入らなくなってからどれくらい経つの?」 母「うーん、2ヶ月くらいかしらねー」  「お父さんの自動車修理工場の地域は、国境線に近いところだから」  「お父さんと連絡が途絶えたのは一ヶ月前だけど」  「もう敵の空爆が始まっているって噂だから、怖くて確かめに行くのもおっくうになるのよね」     
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