トンナムの朝

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アン「来週辺り、私が自転車でお父さんの街まで見に行こうか?」 母「アン!」 アン「はい」 母「あなたはまだ女の子ですよ?」  「自分から危険に向かっていってはいけませんっ」 アン「はい」   「ごめんなさい、お母さん」 アシモフ兄さんとはアンが幼い頃に病死したアンの実の兄の事です。屋根裏部屋のベッドに寝そべりながら。窓の外の星空を眺めて色んな物思いにふけるのが、アンの日課です。 アン「初月分のお給料もらえるのかなー?」   「うーん」   「流れ星はないけど」   「願掛けちゃうー」   「アニィ兄さんと結ばれますように・・・」 目を閉じ、両手を結んで。ベッドの上で正座をしながら。 アンは星空に祈りを込めます。 アニィ兄さん。アンの幼馴染の近所の年上の少年の事です。 どーやらアンはアシモフ兄さんと重ねて見ているようです。 ここで主人公のアン・ユウリィの事を説明します。 アン・ユウリィ。17歳の少女。片田舎のごく普通の貧しい家に産まれ育った苦労ばかり知っている女の子。 おかっぱの黒髪はサラサラでいつも天使のリングが見えています。 目はふたえ、鼻は団子鼻。唇は小さくたらこ唇? 田舎育ちの女の子らしくほっぺが赤みがかかっています。 「世界は希望でいっぱいだ」 と本気で信じている。夢見る乙女です。
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