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第一章 箱入り少年。
「はぁっ・・・今日もつっかれたぁ・・・」
そんな愚痴を零しながら俺ー黒崎時雨が家へと入ろうとした時。
『あの、僕を拾って頂けませんか?』
と、ふとか細い声が耳元で響いた。反射的に視線を地面へと落とすと。
薄汚れたダンボール箱がそこにはあって、その中には頬が痩せこけた白い髪の少年が蹲っていた。
「はぁっ・・・?」
思わず困惑の言葉が口から漏れてしまい、目の前にいる少年はより一層小さな声で『あ、その、ごめんなさい。迷惑・・・ですよね。ごめんなさい、すぐに消えますから・・・』と言って、ダンボール箱から立ち上がり、ふらついた足取りで夜道の中へと消えていく。
鼻を掠めたΩの甘い香り。俺は生憎Ωのフェロモンには欲情しないので、優しく少年の手首を掴む。
『えっ・・・?』
戸惑う少年の声色を無視して、俺と少年は二人で玄関へと上がる。
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