第一章 箱入り少年。

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「足、見せて。怪我してるでしょ」 俺が出来るだけそう優しく問いかけると、彼はおずおずといった様子で真白な足を差し出した。 「で、君はどうしたいの?自慢じゃないけど、俺結構金持ってるし、君に衣食住くらいを提供出来るけど」 彼は俺のその言葉に『はい・・・えっと、その、よろしくお願いします』と言って、優しく微笑んだ。 こうして、俺と椎名爽の同居生活が始まった。                ≪一日目≫ 「おー、いい匂いだな」 俺がそうぼやきながらダイニングルームに入ると、食卓にはほどよくシロップがかけられたフレンチトーストと濃い目のココアが運ばれていた。 『おはようございます!今日はフレンチトースト作ってみたんですけど・・・もしお口に合わなかったら食べなくても全然大丈夫ですよ!!』 そう言う彼の声に、俺はゆっくりと首を振り、食卓につく。 「いただきます」
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