564人が本棚に入れています
本棚に追加
「城、お前、ハワイには行かないのか?」
俺が唯一気を許している二人の親友の内の一人が、10月にハワイで結婚式を挙げる。
「俺は嫁さん連れてバカンスを兼ねて行く予定だけど、お前は?
やっぱり行かないか?」
エスカレーター式の学校で育った俺達は、小学部、中学部、高等部、もちろん大学まで一緒だった。
元々、人間に対して何も興味のない俺を、この二人は甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
それは今でも変わらない。
三か月に一度は必ず集まるこの飲み会のルーティンも、俺は食傷気味だけど…
「俺は行かない。
10月は忙しいし、政府主催のイベントを任されてるのも知ってるだろ?」
太一と陽介は、お決まりの俺の文句に顔を見合わて苦笑いをする。
「城、分かってるか…?
来年で俺達は20代を卒業する。
この三人の中で、独身はお前一人になるんだぞ?
そろそろ、まずは彼女から作ってみない?」
これもお決まりのルーティンだ。
最初のコメントを投稿しよう!