満月の夜に 城side

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街灯に照らされたベンチの上で、酒に酔っ払ったらしい女の子がガッツリ寝ている。 俺には珍しく歩くのを止め、街路樹の隙間からその女の子の様子を窺った。 かろうじてベンチには座っているように見える。 でも、顔は明らかに寝ていた。 足元にはビールの空き缶が何個か転がり、眠っているはずの手にはワンカップ小関の瓶のコップが握られている。 それも、危うげに… あ、ほら、こぼれるぞ… どういうわけか、俺はその女の子から目が離れない。 きっと、こぼれそうなワンカップ小関が気になっているからに違いないし、酔っ払った女子を見るのも久しぶりだったからだ、と思う。 更にどういうわけだか、俺はその公園の中に入り、その女の子が寝ているベンチの真横にあるジャングルジムに腰かけた。 だって、どう考えたって、こんな夜中に女の子が一人でベンチで寝ていたら変質者に襲われるかもしれないし、強盗にバックを持って行かれるかもしれない。 それにそのお酒が、もう少しでこぼれそうな事も気になって仕方がないのも事実だった。
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