目覚めの先 城side

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俺は確かに独立の話は進めている。 自分で全部やった方が仕事内容でも収入の面でも、満足のいく未来が待っている。 ヘッドハンティングは全く考えてなかったが、こんな最高の仕事をしてくれた片桐君は連れて行く事になるだろう。 翼が俺の側に来る… 今回のこの取引が凶と出るか吉と出るか、そんな事すら冷静に考えられない俺は“翼に首ったけ”という映画の主人公にでもなった気分だ。 それと、あの新宿の裏通りの母は俺の感情が全部目覚めると言ったけれど、それは少し違っている。 翼に関してだけだ。 それ限定。 翼が関わってくると俺の中で眠っていた感情が、恥ずかしげもなく目を覚ます。 今では、9月1日を指折り数える俺は、そこら辺の幼稚園児と同じだ。 その日を考えるだけで、目が冴えてきて眠れなくなる。 あの晩の翼の綺麗な顔を思い出す。 俺の事を覚えていてくれるかな…? いや、それは絶対にないだろう。 あの酔っ払い度は、完全に記憶をなくしてる。 それでいい。 俺は、この嘘みたいな偶然に身を任せるつもりでいるから。 実際、俺自身、どうなってしまうのか、全く見当もつかないし。 9月1日、9月1日、 早く、9月1日が来てほしい…
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