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城は、翼の顔をジッと見つめた。
きっと何時間見ていても飽きない。
出来ることなら、このまま箱に入れてリボンをして持って帰りたいくらいだ。
「断って」
「…え?」
翼の瞳がさらに大きくなる。
城はそんな風にクルクル変わる翼の表情に、ますます見入ってしまう。
「断って。
そんなに歓迎会がしたいのなら、俺がしてやるよ」
「…は??」
え?とかは?とかしか言わない翼が可愛くて仕方ない反面、歓迎会に行くなんて絶対にあり得ないというダークな感情が城の思考を支配していた。
「あいつらとの歓迎会には行くな。
それだけ」
城はそんなひどい事を言いながらも、翼から目を離せない。
すると、翼は立ち上がって後ずさりをする。
「行きます…
行くなって言っても絶対に行きますから。
っていうか、何で仕事外の事を口出しするんですか…?」
城は後ずさる翼の腕を掴んで、自分の元へ引き寄せた。
「何でだろう…
ただ、嫌なんだ。
君が他の男と話をするのが。
それが理由じゃダメか…?」
城はか細い翼の腕を掴みながら、夏に酔っ払って抱き寄せた時よりも痩せている事に気付いた。
「なあ、お前、ちゃんとご飯食べてるか…?
酒ばっかり飲んで、栄養つくもの食べてないだろ」
城は翼のもう片方の腕も取り、両手首を優しく握りしめる。
「泣いてばっかりじゃダメだぞ。
君は可愛い…
すごく聡明で、魅力的で、この世界の中で一番美しい…
だから、自信を持って前を向かないと」
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