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陽介も半分呆れている。
占い師のくだらない戯言を信じ切っている太一を横目で見ながら。
「俺は眠ってなんかいないし、感情だってちゃんとあるよ。
普通の人より、大人しいだけだと思うけど」
俺がそんな事をボソボソ言っている横で、太一と陽介が空を見上げている。
「城、ヤバいぞ…
今日は、最高の満月の夜だ…」
俺は二人からそう言われ、とりあえず空を見上げてみた。
確かに、大きな満月が都会の空に浮かんでいる。
だから…?
この冷めた感覚が、俺がこけしと呼ばれる所以だった。
あのおばさんが言うように、こんな満月の夜だからもしかしたらその運命とやらの女性に出会うかも?なんて、死んでも思わないし、ワクワクやウキウキやそんなものも全く湧いてこない。
太一と陽介は、無表情で立っている俺の事は気にも留めずに、勝手にウキウキして楽しんでいる。
「お前らは電車で帰るんだろ?
俺はタクシーで帰るから、じゃあな」
マジで早く帰りたい。
元々、飲み会だってほとんど興味のない俺が、今日は占いの館までつき合った。
そりゃ、疲れるだろ…
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