2 冬へ

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 差し出した水が入っているペットボトルを受け取った。タミフルと書かれている黄色い錠剤とアスピリンと書かれている白い錠剤を妹の口に運んであげ、ミカはそれらを水で流し込んだ。 「おやすみ」再び布団にもぐったミカは言った。 「おやすみ」ユリはお盆を持って妹の部屋に出るときに言った。  台所の流しで使い終わった土鍋とレンゲを洗った。冷蔵庫から昨日で賞味期限が切れたツナマヨパンを取り出してお昼とした。学校以外で1人となって食べるのは学校以外では久しぶりだ。母がいない間妹のミカと勉強のことで話しながら食べることはあった。1人だと冷たいパンはさらに味気なく感じる。負の感情に押しつぶされそうになり半分ほど残してしまった。おやつとして残し勉強机に向かった。母が帰って言われた範囲が終わっていないなら口うるさく怒鳴られるだろう。  勉強を再開してあともう少しで終わるところで玄関の扉があいた。居間は十分暗くなっていた。スーパーの袋を持った母が居間に入ってきた。 「かわりない?」  居間の明かりを灯し、袋をテーブルに置いた母は聞いた。それに私はうなずいた。だが母はユリの肯定のサインを見ずにミカの部屋に向かった。 「ユリなにをした!」 「え?」 「痙攣が止まらない。それに吐いている。 病院に連れていく」  居間に駆け戻るや母は電話を取り救急車を呼んだ。  白い服を着た人が駆け込んできて妹――ミカを病院に連れて行った。  1人家に残され、スーパーの袋に入っている総菜を取り出した。しかし食欲がわかずに風呂に湯を張った。母から言われた範囲が終わり気分を落ち着かせたく湯船に浸かった。風呂から出て寝間着を着ても帰ってくる気配ない。仕方なく英語の勉強を始めた。時計の針が10時を過ぎたころに父が帰ってきた。何時ぶりぐらい久しぶりに見る父は老け、酒とたばこが合わさった匂いをしている。ユリが起きていることに驚いたが風呂に入り上がったら冷蔵庫からビールを取り出した。父が椅子に座るころに母が帰ってきた。
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