2 冬へ

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「うわー、ユリさん頭いいね。今度試してみるよ。あ、ごめんね、少しおしゃべりしてしまって。ねぇ答えたくなかったら黙っていてほしいけどきいてもいいかな?」 「なんですか?」 「ミカさんに与えたお薬わかりますか?」 「うーん。抗インフルエンザ薬と熱を下げるのだったかな」 「ありがとう。そのお薬飲んだ後、ミカさんの調子が変だったりしない?」 「うーん。ぐっすり眠ってしまって。そしてお母さんが帰ってきて……」 「ごめんね。つらいことを聞いてしまって」 「ううん。妹――ミカは良くなりますか?」 「うん。妹思いのお姉さんがいるかすぐよくなるよ」 「ありがとうございます。あ、もう帰らないと」 「玄関まで送るよ」  空になった紙コップは置いといていいと言われ、会議室を出た。看護師とエレベーターに乗った。どうやら昨日妹が運び込まれたとき、母は興奮していたらしい。エレベーターの中でミカの好き嫌いを教えた。ほかにもいくらか話していると正面玄関に着いた。別れを告げ帰路に着いた。  家についても誰も帰っていなかった。なれない1人での夕食を済ませ、勉強を始めた。 「まだ終わっていないの」  帰ってきた母は私の進捗を見て言った。 「さっさと済ませないさい。まったく」  母に愚痴られながらも勉強を続けた。すべて終わったのは父が帰ってきてからだ。母は珍しく私の勉強が終わる前に風呂に入った。 「食べるか?」  ビールを飲んでいる父はつまみのイカの足一片を差し出した。 「ふとるからいや」 「そうか。ミカが入院したのは大変だったな」 「そうだね」 「父ちゃん仕事が忙しいから見舞にいってな」 「そう」  ユリが中学校に上がってから父は運動会や合唱祭などには出てこなくなった。中学校の卒業と高校入学には両親が出てこなくなった。仕事が忙しいのだという。 「ユリまだ起きているの!」
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